医療のコーディネーターに期待する

インテリア・コーディネータに医療コーディネーターの未来をみる
 1997年頃にわが家の建築を依頼した経験があります。憧れの宮脇檀氏など有名な建築家に設計を依頼することはもちろんできません。メーカーのプレハブの住宅ではありましたが、それまでの自分にとって一番大きな買い物であった車選びとは異なり、家の建築は決断すべき選択肢が余りに多いことに、驚かされました。家の基本設計だけでなく、床の板の色や質感、カーテン、壁紙、ドアのノブ、庭の木に至るまで、それぞれを選択し始めると切りがありません。

 例えば、カーテンも、カタログを見て一つ一つを探せば、選択する対象は何百種類にもなります。ところが、インテリア・コーディネータは、家の設計図を見て、私たちのもつイメージ、好み、予算を聞くと、さほどの時間もとらず、ちょうどそれらに合うカーテンを5から6種類すっと引っ張り出してくるのです。6枚の中から、最終的に私たちがどれを選ぶのかも、承知しているかのようで、見透かされているような気さえしました。

 わたしは、「これがプロの仕事だ。」と思いました。

 医療においても同じで、何も患者さんが医学論文を片端からひっくり返して、調べる必要はありません。患者さんは自分の希望を述べさえすればよいのです。医師はその希望に合いそうな治療の選択肢を提示し、それぞれの利点と短所を示しながら相談しながら、最終的に患者さんが決めればよいのです。これからの医師は、このようなコーディネーターとしての役割が期待されているのだと思います。

 米国で医療機関として第一位か第二位の人気を誇るメイヨークリニックでは、インフォームドコンセントを得る時に、医学論文の分厚い束が患者さんに手渡されるそうです。患者さんはその論文を短い期間に読み、理解し、決断することを求められるのです。
 同クリニックで手術を受ける人は、高い学歴や知能レベルを誇る米国でエグゼクティブといわれる実業家などが多く、普段の仕事でも自分の専門外のことも短期間に勉強し、理解し、決断することが求められているのでしょう。

 日頃から訓練をされている人であれば、このような形のインフォームドコンセントも可能であり、理想的なのかもしれません。しかし、このようなインフォームドコンセントを望み、それを受け入れる用意のある日本人が一体どれ程いるでしょう。
 私は専門的な内容についての判断は、専門家の医師に任せればよいと思います。患者さんにとって大切なことは、自分の生き方にあわせた医療の選択をすることであり、病気についての詳しい知識や医療の技術的内容を知ることではありません。医療者がコーディネーターとして働けば患者さんの負担はずっと少なくなります。

 臓器移植などの高度先進医療では、すでに患者さんと医師の間で専任の移植コーディネーターが活躍をしています。このような専任のコーディネーターでなくとも、医師や看護師がその勤めを果たしてもよいのです。

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この記事へのコメント

sin
2005年03月13日 02:28
 「日本医療コーディネーター協会」が活動しています。
   http://www.jpmca.com/
 5月28日に、私たちがんを語る有志の会などが主催して
開催する「第1回がん患者大集会」に協会の代表である嵯峨崎
さんをお招きしてお話をお聞きする予定です。
  http://www.geocities.jp/cancer_room/kanjadaishuukai.html
眞三
2005年03月13日 18:45
sinさんお知らせありがとうございます。このような職種がうまく機能できるようになるとよいですね。
岩本ゆり
2005年03月14日 11:07
TBありがとうございます。
sinさん、「第1回がん患者大集会」後援に入っている楽患ねっとの副理事長で、医療コーディネーターでもある岩本です。こんなところで、奇遇です!

がんを語る有志の会の方々が構想していらっしゃる「日本がん情報センター」では、医療コーディネーターを活用する方法を考えて下さっているとのこと、
患者情報室も構想に入っており、実際に長野病院で患者情報室の立ち上げを行った者としては、とても嬉しいです。嵯峨崎さんは、力強い未来に希望の持てる話をしてくれると思います。
私も行きたいのですが、大阪は遠いです。。。

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