総合診療医を目指した後輩医師の悩み

昨日A医師が訪ねてきた。うれしい来訪であった。
A医師は、慶應大学のある学生の課外活動団体の後輩だ。2年前に大学を卒業する際に、大学病院での研修では患者の側に立った医療はできないと考え、市中病院(大学病院以外の研修病院)にプライマリーケアを目指して研修医として就職した。私は頼もしいなと思いながらも一抹の不安を感じていた。

ある日私の元にメールで相談がきた。(以下、本人の了解の下抜粋)

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9月18日

 私は、元気に研修医生活を送っております。ただ、最近は、3年目からの後期研修は別のところに移ろうと思い、病院見学などをしているところです。それについて、少し先生のご意見をお聞かせ頂きたい事があり、メールさせていただいております。少し長くなるのですが、お読みいただければ幸いです。

 地域医療、プライマリケアがやりたくて、卒後研修先として今の病院を選んだ事に悔いはありません。他の病院と比べる事はできないけれど、自分なりに多くのことを学んだ時間だったと思っております。けれど、今の病院にいて、たとえば患者さんが高齢であるとか、経済的問題などを盾に、医学的にどうなんだろう?ということが行われていると感じる事があります。また、対症療法でお茶を濁しているうちに、後手にまわってしまうということも経験しました。

 卒後まもなく、加藤先生は私に「今の日本に僻地は存在しない」とおっしゃいました。その時は、そんなことはない、医者が足りないところはいくらでもある、と思ったのですが、今はおっしゃっていた意味がわかります。私の病院でも、患者さんが望めば、すぐ近くに高度医療を受けられる施設はあります。語弊があるかもしれませんが、’まともな’人はそういうところに行きます。結局、私の病院に来る人というのは、病院や医療に対してあまり期待せず、とりあえず症状を取ってくれればいいや、という人が多いのではないかなと感じています。医師になってすぐ、そういう環境にいると、患者さんの期待の低さに甘えて、医師として何の力もつかないのではないかと不安になったことが、現在就職活動をしようと思い立った一番の理由です。ゲートキーパーとして何の機能も果たしていないのでは・・・という無力感に近いものもあります。

 もう一つは、私の病院では内科認定医の資格も取れないので、資格くらい取ろうと思ったことも理由に挙がります。そして、いろいろ考えているうちに、やはり専門医になりたいと思うようになりました。一番分からなかったのが循環器なので、時間をかけて、きちんと循環器を勉強したいと思い、現在は循環器内科を専門にしたいと考えています。

 そして、後期研修先として今考えているのは、大阪の国立循環器病センターです。なぜ大学に戻らないかというと、「飛ばされる」先を自分で選べず、運任せになることにどうしても抵抗があるからです。国立循環器病センターは研修システムもしっかりしており、見学に行った雰囲気もすごく好きで、ここに行きたい!と思いました。


 ただ、昨日MM医療センターを見学に行ってきて、言われて不安になったことがありました。そこの先生方もとても魅力的な先生方で、私がXXX病院にいたことは「だまされて残念だ」というような印象を持たれたようでした。それについでは仕方がありません(くどいですが、ここにいたことを自分自身後悔しているわけではありません)。そして、「国立循環器病センターは確かに研修先としてすぐれているけれども、あなたは内科医として『まともな』教育を受けてないから、初めから単科の病院に行かずに一度は総合病院で他科も見ながら(まわるわけではありませんが)研修してはどうか」と言われました。MM医療センターはすごく人手がないようで、勧誘の気持ちも強そうでしたし、「ここに来た後で国循に行けば良い」とのことでした。

 今も大阪に行きたい気持ちに変わりはありませんが、そう言われて不安になりました。大学病院で「雑用をやらされている」と不満だらけの同級生の話を聞いていると、私のほうが初期研修としてはいい環境にいたのではないかと思う(思いたい)部分はあるのですが、ほんとにそうか、といわれれば自信がありません。また、私の病院は150床弱の小さな病院で、専門各科をまったく見た経験がないのも事実です。

 長々と書いてしまいましたが、先生のご意見を伺いたいのはそのことです。私が望めば国立循環器病センターに行けるわけではないというのはまた別問題として、後期研修先として、いきなり単科の専門病院に行くよりも、やはりどこかの総合病院で、各科にコンサルトできる所を一度見たほうがいいのでしょうか。私の気持ちとしては、循環器をやると決めたからにはさっさと1番力のつくところで修行がしたいと思うのです。この考え方はあせっているでしょうか。

 お忙しい先生にいきなりこのようなご相談をさせていただく事を非常に恐縮に存じております。しかし、今回の選択は私の人生の方向性を決める上ですごく重要である事を感じ、迷いや不安の気持ちが強いです。もし何か、ご意見が頂ければ非常に幸いに存じます。

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