セカンドオピニオンで開腹をまぬがれる

セカンドオピニオンを求められても、一番目の医師の下でどのような根拠でそう判断されたかが重要です。実は、2番目の方ががんを見落とす場合だってありえるからです。そうであれば、2番目の医師は一番目の医師の情報と総合的に判断する方がより確かになります。
私のところに胃がんだといわれて相談に見えた患者さんがいました。その病変ががんでないというためには、それなりの慎重さが求められるのです。

患者の生き方より
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開腹手術をすすめられた患者さんの顛末

私の知り合いNさんは、通っている病院で内視鏡検査を受けました。その結果を聞きに言ったところ、「胃がんだったから、入院のうえ開腹手術が必要です。」と言われたというのです。

Nさんより相談を受けた私が、早速、内視鏡検査を再検したところ、胃の折れ曲がるところの胃角部に、潰瘍を繰り返した跡のひきつれが集まっています。粘膜もやや凹凸が強いのです。
その部位の組織をとり、病理検査に出しましたが、「異型性のある細胞」であるとの病理医からの返事でした。私が病理のM先生に直接相談に行くと、「胃がんとは言えないけれども、あやしげな細胞は確かにある。もし他の病院でがんと言われたのなら、やはりその組織を見なくてはならない。」との意見でした。

 M先生の意見に私も同意し、Nさんにそう伝えました。程なく、前にみてもらっている病院から病理組織が送られてきました。送られてきた標本を詳細に観察して初めて、M先生は経過観察でよいだろうと判断しました。そして、その後、3,6,12ヶ月と頻繁に内視鏡検査をし経過をみましたが、悪い変化はなく、それから6年以上経った今では同部はすっかりきれいに治っています。胃がんではなかったのです。Nさんは無駄な手術を受けないで済みました。

 この件で、病理医M先生の態度に学ぶことは大でした。前医で胃がんと診断されたのなら、それを否定するには慎重の上にも慎重になる必要があります。簡単にこちらの検査だけで悪性の細胞が見えないからと、否定してはならないのです。

その意味からも、セカンドオピニオンを得る時には、前医からの紹介状とそこでの経過や検査所見が欠かせないのです。

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この記事へのコメント

macoto
2005年07月21日 22:17
このお話 コメントする余地がないほどに,いいお話だと思います。
・・・ って コメント入れてるし(笑)
あかんべい
2005年07月22日 04:06
紹介状をもらってきなさいという先生の主旨がよくわかりました。

本文の内容とはあまり関係のない話になってしまいましたが、もう一つ考えたことをTBさせていただきました。
(僕はセカンドオピニオンとセカンドコンサルテーションを混同しているようですね。)
2005年07月22日 11:31
初発の癌治療目的で、外科主治医と簡単なコミニケーションをとり開腹切除を受けたが、経過観察中に再発を宣告されてしまった。

主治医からセカンドオピニオンの提案があったので、躊躇することなくデータを借用し数箇所の専門医のサポートをいただき、再発箇所の亜区域切除を受けました。

幸いにも、予後の経過にも恵まれていますが、難治性の肝炎フォローは、肝臓臨床内科医でなければと決意して、コンセンサスを得てIFN投与中であります。
しんぞう
2005年07月22日 13:01
あかんべいさん。 私のココの記事は現在の使い方からいうとセカンドコンサルテーションになっています。セカンドオピニオンはもってきた資料だけから判断し、診断や治療に対する意見をいうことに限定されてきています。
したがって、私の記事もその意味で混同しております。

彩さん。肝臓に関しては選択肢が多いため、やはり専門医の意見を聞くことがよいと思います。

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