[肝臓病生活指導テキスト] の紹介

肝臓病教室が普及するに従い、そこで生活指導をする人向けのテキストが求められていた。従来の教科書では生活指導に詳しく触れられたものは少ない。
そこで、若手医師、栄養士、看護師などを対象に肝臓病教室で話す内容をまとめたのがこの本である。
肝臓病をもつ患者さんにも読めるようにと平易な表現をこころがけた。肝臓病で悩む患者さんにも是非お読みいただきたい。

まえがきより
 わが国で慢性肝臓病に患っている人は200万人を超えると推定されています。ウイルスの感染から慢性肝炎、肝硬変、肝がんと長い経過により進行する病気をかかえている患者は、その病気がどのようなものか、どうすれば治るのか、治らない時にはどのようにすれば良いのか、家族にウイルスをうつさないためにはどのような注意が必要かなど、あれこれと考え思い悩んでいます。そして、慢性肝炎の患者の多くがうつ状態にあるこも報告されています。
 急性疾患は短期間あるいは入院期間中に治る病気であり、その治療を医師に任せてすんでしまいます。患者はその病気について必ずしも詳しく知る必要はありません。一方、慢性疾患では、病気をかかえての家庭や職場における生活があるために、その病気の経過や診断と治療法に関して、そして食事、飲酒、安静と運動、感染予防などについての正しい知識が必要です。知識を持たないことに起因する不安感も少なくありません。すなわち、慢性疾患では病気をかかえながら高いQOLを維持するために、病気に対する正しい知識が不可欠です。
 このように考えた私は、1992年より肝臓病教室を月に一度開催し、患者への情報提供や患者教育の問題に取り組んできました。そして、このような肝臓病教室がおそらく全国の患者から渇望されているだろうと感じています。肝臓病教室を開いて10年を経過したのを機に「肝臓病教室のすすめ」を出版したところ、若手の医師だけでなく、栄養士、保健婦、看護師などからも大きな反響がありました。そして、肝臓病の患者教育に関心を持つ人が大勢いることを知りました。私が毎月開いている肝臓病教室を全国の各地から見学にきてくれる熱心な人がも40施設を越え後を絶ちません。私にとっては同志です。ところが、そのような人がいざ教室を開こうとして参考になるものをと探しても、肝臓病に関する教科書は、その発生機序や画像の読影、病理所見など専門医に必要なことは詳しく書かれていても、実際に患者が知りたがる情報、あるいは伝えられるべき情報は片隅に追いやられているのが実状です。前著「肝臓病教室のすすめ」は、教室の運営するための方法やそれを行うための背景となる考え方を書いたものであり、肝臓病そのものに関する情報やその内容については詳しく記述していませんでした。肝臓病の患者教育に関心のある医療関係者が、患者に教育をするための基礎となる情報をつめこんだ教材が必要であろうと感じていた時期に、肝臓病のテキストをという話を南江堂よりいただき、喜んで引き受けました。また、肝臓病の患者さんの中には医師も驚く程肝臓病についての知識を豊富にもち、貪欲にそして真剣に勉強している人もいます。そのような熱心な患者さんにも理解され参考になるものにしたいと考えました。
 本書が、肝臓病の患者教育を行おうとする人にとって、患者を中心においた肝臓病の知識を理解し整理するために役立つことを、同時に、肝臓病を患いその情報を希求する患者さんにとり、病気をかかえながらも高いQOLを維持した生活を送るためのよき指針となるテキストになることを念願いたします。

肝臓病生活指導テキスト

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この記事へのコメント

生協太郎
2005年02月22日 11:36
先生のブログサイトを知り、お願いがあり書き込みいたしました。本題とは少し離れている内容で申し訳ないのですが、わたくし、愛媛の病院、愛媛生協病院(80床)にて放射線技師をしております。院内慢性疾患の学習会で「肝臓病教室のすすめ -新しい医師・患者関係をめざして-」を拝見しました。添付しておりました、CD-ROMを院所待合にて患者さま向けに放映したいのですがよろしいでしょうか。
 ご多忙とは思いますが、よろしければ matsuno@ehime-med.or.jp までご一報頂ければ助かります。よろしくお願い致します。
生協太郎さんへ
2005年02月22日 13:05
教室のすすめの中のスライドは患者教育の目的であれば自由に使ってもらって結構です。
その後の新しいスライドをインターネットを通して配信することを計画しています。そして、全国の病院から持ち寄ってプールするとよいなどと考えています。

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  • 【書籍】肝臓病生活指導テキスト

    Excerpt:  <写真 「肝臓病生活指導テキスト」表紙>  肝臓病患者への援助を目的にした職 Weblog: 肝臓のなかまたち racked: 2005-02-25 17:54