言葉のすれちがい

誤解」について
若苗さん。医学生や研修医にもこのようなことをしゃべってはいますが、言葉のすれ違いはどこまでもあるものです。
結局は双方の歩み寄りが必要なのでしょうね。

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「肝臓病教室のすすめ」より
 家庭の食卓で家族と一緒に夕食を食べながら、NHKのテレビ番組「連想ゲーム」を見ていた時の話です。「ヌク」と「シロイ」から連想するものは何かという問題が出ました。ゲストである元巨人軍の定岡選手が解答の一番バッターです。「ティッシュペーパー」。食卓で小学生の娘達の前ですから、私はぐっと奥歯をかみしめながら、「おおっ、中々やるな、定岡君。うまくかわしたね。」と心の中で感心していました。ところが、さすがに天下のNHKでした。後に続く解答は、7人が白髪、2人が歯だったのです。結局、定岡選手だけが恥ずかしい惨めな思いをしたのです。(余り本人はそう思っていないかもしれませんが)

 これが余りに面白かったので、その後まわりの何人かにこの質問をしてみました。ストレートな答え(何がストレートやら)の外にも、さまざまな答えが返ってきます。白ワインのコルクを抜くところ。ビールの栓を抜いて白い泡がたつところ。運動会の競争で白い鉢巻の選手が追い抜いていくところ。スキー場で雪の中に足がズボッと入り、それを引き抜くところ。畑から大根をぬくところ、などなど。予期せぬ答えがいっぱいです。(ヤレヤレ、一体何人に聞いたのか)。

 ここにコミュニケーションの難しさがあります。一つの言葉を投げかけても、その受け手は、その人のもつ体験や嗜好によりさまざまなイメージを描いているのです。
 大腸鏡の検査の前日、「肛門から、かがみを入れて見ます」と医師が説明をしたため、患者は手鏡を思い浮かべながら、どうやって肛門から入れるのだろう、縦か、横か、裏返しか、などと考え込んでしまい、心配で一睡もできかったという笑話があります。
 「先生、鈴木さんが、まだ、ESTのことをよくわからないと言っています。」「いや、僕は昨日30分もかけて、ちゃんと話したんだから。それでもわからん奴にはもういいよ。」
このようなすれ違いは必ず生ずるものです。それを避けるには、まず、言葉は、本来すれちがいを生むものであることを認識した上で、投げかけなければならないのです。もう一つの重要なことは、相手からの確認です。情報は一方的に伝えるだけの時には、すれ違いに気がつきませんが、双方向性に情報をやり取りすることにより、お互いに抱いたイメージの違いに気がつき、それを最小限にできるのです。

 「大切なことは、何を言ったかではなく、どう伝わったかである。」

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この記事へのコメント

楽患ねっと
2005年03月12日 17:01
加藤医師、コメントありがとうございました。
シンポジウム当日、いらして頂いてご意見をお聞きしたかったです。
「言葉のすれちがい」について を読んで、更にその気持ちを強くしました。

また、医療コーディネーターは、大阪の三浦医師の会とも関係しています。
BLOGというツールが、不思議な縁を運んでくれたことに感謝しています。
今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
GORO
2005年05月21日 10:44
「大切なことは、何を言ったかではなく、どう伝わったかである。」
これは、私の職場でもさんざん言われてきたことでありました。

私の会社で受注したある工事現場で、設計担当者と工事担当者との間での
ちょっとした伝達ミスから、修復不可能な施工不良が生じ、
発注した役所への賠償問題に発展して結局工事は最初からやり直しとなり、
元請け会社への損害補填も含めて数千万円の損失を出したことがありました。
年商数億の小さな会社でこの額の損失は大きな痛手です。

何故このような事態になったかを社内で分析したところ、
伝達事項の確認をとらなかったために間違った情報がそのまま流れてしまった、
ということが判明しました。まさに「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」が
きちんと行なわれなかった結果であることが明るみに出たのです。
GORO
2005年05月21日 10:45
世の中を見ると、そういった伝達ミスで大きな事態に繋がった例は
枚挙にいとまがありませんね。
医療の世界でも、本文のように笑い話で済むうちはいいですけど、
医師の指示を聞き違えて患者に誤った薬品を投与して死亡させるという類の
事故も多発していますよね。本当に、「ほうれんそう」の重要性を
肝に銘じなくてはならないと思います...。
2005年05月21日 11:10
Goroさん。早速のコメントをありがとうございます。このようなコミュニケーションの話が医療の中で話題にされるようになったのは、まだ日の浅いことなのです。残念ながら。

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