全人的医療の場は本当にプライマリーケアなのか

 最近、全人的医療という言葉がよく使われる。そして、その全人的医療の担い手は、開業医などの目指すプライマリーケア、あるいは心療内科の医師であると考えられている。
 全人的医療とは、人を全体として診る医療であり、身体、精神、社会、スピリチュアルの4次元で診ようとする医療である。決して、身体だけの全体、すなわちどの臓器の疾患も診るという医療を指すわけではない。

 私は逆説的に、全人的医療は部分を見る専門家の医療においてこそ必要とされていると思う。つまり、専門医の診る医療には、より深刻な病気が多く、生死にかかわる病気であることも多い。また、経済的な負担も大きかったり、家族とのかかわりも必要となることがおおい。

 ところが、専門医は全人的医療に興味を持つことは少ない。そもそも、専門化、細分化の方向に進んできた医学を学び、習得してきた医師は、社会的やスピリチュアルなケアに対する関心は少ない。自分の範囲外と思っている。また、その余裕が時間的にも、精神的にもない。

 それでは、このギャップをどのように解消するべきだろうか。医療のシステムとして、専門医の周りに、このようなケアができるスタッフをおくことが、結局は一番の近道ではないかと思う。一人の専門医にすべてのことを期待することは酷というものだ。

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この記事へのコメント

水井
2005年03月17日 00:23
確かに「いま、ここ。」の問題に関して専門医は不器用にしか対応できていないようです。病気を系統立てて分析したり察知したりすることには力を発揮されるのですが、その患者さんのことを全体から見たときの解決に向かって行動するのは不得意なように感じます。加藤先生はそもそも関心が薄いと仰っていて、システムとしてそれをカバーするスタッフを!ということですが、
まずは患者さんのためにも解決をということなのでしょうが、
専門性の分散をお医者さん側に促すことが同時に行われませんと、スタッフ側の負担が大きくなったり、お互いの責任転嫁がおきませんか?
眞三
2005年03月17日 00:39
総合的に診る医者として総合診療とか総合内科とかが作られています。しかし、これらの医師は大変難しい立場にいます。それぞれの病気に関してはその専門医にはかなわないからです。その結果として、中途半端な存在として中々自信をもてないのが問題です。 

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